教科書には載らない現実。【VICE】の衝撃ドキュメンタリー12選

ドキュメンタリー

VICEとは?

1994年にカナダで創刊されたフリーペーパーから始まり、現在はニューヨークを拠点とする国際的なメディアブランド。社会問題や若者文化、戦争、薬物、政治といった“既存メディアが報じない”領域に踏み込み、独自の切り口で世界中のリアルを映し出すドキュメンタリーや記事を展開している。

※ちなみに「VICE(ヴァイス)」は英語で「悪徳」や「堕落」を意味する言葉で、人間の欲望や社会の暗部を象徴する語として使われる。

1、タイフーンサーファーズ – Typhoon Surfers

世界を旅するプロサーファー、アレック・パーカーが日本にやってきた。年に1度、台風の季節にだけ発生するビッグウェーブを求めて──

そんな極限のサーフィンに挑むアレックの姿を追いながら、日本のローカルサーフカルチャー、自然への畏敬、そして台風という気象現象との“共存”にもフォーカスしている。

2、銃を手放せないアメリカの伝統 – Guns in the Sun

フロリダ州では拳銃の取引が合法化されている。文化の一部として維持すべきか、それとも犯罪を減らすため規制すべきか……。

フロリダ州では拳銃の取引が合法とされ、銃は暮らしに溶け込んでいる。伝統として守るべきなのか、それとも暴力の温床として規制すべきなのか。

VICEの『Guns in the Sun』は、銃と共に生きる人々のリアルを追いながら、アメリカが抱える矛盾を静かにあぶり出していく。

現在のフロリダ州の銃規制はどうなっている?

2018年、フロリダ州はパークランド高校での銃乱射事件を受けて、銃規制を強化。長銃器の購入年齢を21歳に引き上げ、危険人物から銃を一時押収できる「レッドフラッグ法」も導入される。

しかし近年は、規制を緩和する動きも進んでいる。2023年には隠し持ち携帯(コンシールドキャリー)の許可が不要となり、合法的な銃所持者は届出なしで銃を携帯できるようになった。

銃を持つ自由と、それに伴うリスク。その間でフロリダは今も揺れている。

3、無人島で孤独に暮らす全裸の男 – In Subtropical Solitude

文明も服も脱ぎ捨てて、外離島でひとり暮らす78歳。
“裸のおじさん”こと長崎真砂弓さんは、20年以上も沖縄の無人島で自給自足の日々を送っている。

VICEの『In Subtropical Solitude』は、そんな彼の暮らしを通して「本当に自由ってなんだろう?」と問いかけてくる。

不便なのに、どこか豊か。誰とも話さなくても、ちゃんと“生きてる”。
その姿は、ちょっと不思議で、でもなぜか惹きつけられる。
長崎さんはもっと頑固じじいかと思ったが、全くそんなことはなく、非常にピュアで優しい人だとわかる。

4、ガーナのインターネット詐欺師たち – Internet Scamming in Ghana

彼らのやり口はシンプルだけどめちゃくちゃ巧妙。
偽の恋愛話で相手の心をつかみ、お金をだまし取る。ビジネス詐欺もお手のものだ。
でもサカワはただの“仕事”。生きるための必死な手段である。

手にした金で派手に遊ぶ一方、呪術師のところでおまじないも欠かさない。
最新テクノロジーと黒魔術が入り混じる、サカワの世界はそんな不思議な場所である。

サカワ(Sakawa)とは?

ガーナで実際に存在するネット詐欺と黒魔術が結びついた社会現象を指す言葉である。

もともと、サカワはインターネット詐欺(主に恋愛詐欺やフィッシング詐欺など)を指していたが、次第に黒魔術(ジュジュ)や呪術的な儀式を使って金運や詐欺の成功率を上げるという要素が加わるようになった。

5、密着24時!朝鮮大学校 – North Korean University

東京都小平市にある朝鮮大学校を訪問。生徒の1人、ヒャン・ソン・オーさんの1日に密着した。
ふだん絶対に見られない彼らの日常、授業、素顔がそこに。
政治とか抜きに、ただ「彼らはどんなふうに生きてるの?」って視点で観ると、いろいろ考えさせられる一本。

6、ピンボール 違法ギャンブルから、アメリカ人をとりこにするゲームへ

かつてピンボールは、若者に悪影響を与える「違法ギャンブル」とされ、アメリカ各地で禁止されていたそうだ。
でもこのVICEのドキュメンタリーは、不穏な空気や危険な匂いはまったくなくて、むしろほのぼの&安心安全。VICEにしてはちょっと珍しいタイプかも。
レトロゲームとしては見かけることが減ったけど、観てたら久しぶりにプレイしたくなってきた。

7、都市犯罪を克明に伝えるカルチャー誌『F.E.D.S.』

今回は“アメリカらしさ”が全開。パンチが効きすぎてて、もはや伝説。
ストリートの犯罪を徹底的に特集する雑誌『F.E.D.S.』を、自ら作って売りさばき、内容が過激すぎてリアルギャングからクレームが来るというヤバすぎる展開。
まさに雑誌界の“リアルGTA(グラセフ)”。誰だって一度は手に取ってみたくなる、危険で魅力的な一冊。
おれも正直、中身をこの目で読んでみたかった……。

F.E.D.S.(Finally Every Dimension of the Streets)は、1998年にニューヨークで創刊されたストリートカルチャー誌。
実名・実録の犯罪ドキュメントを扱うという過激なスタイルで注目を集め、ヒップホップと裏社会が交差するリアルを赤裸々に伝えた。2000年代初頭にはカルト的人気を誇ったが、現在ではほぼ発行されておらず、レア雑誌として語り継がれている。

8、ニューヨークの地下に広がる表現と生活の自由 “フリーダム・トンネル”

9、スラム墓地に生きる人々 – Cemetery Slum

10、マイアミの伝説的グラフィティ・クルーが語る、シーンの変遷

11、ドラッグを運搬するコロンビアDIY潜水艦

12、中米からの移民たちに迫る メキシコの魔の手

おわりに